眞馨

つむぐことのは
眞馨 TOP  >  2012年09月

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さくらさくハニー


眞馨へのお題は『縋りつけよ、欲しいなら・桜色に染まる・君の手の大きさに慣れた私の手』です。
小説用お題ったー。(http://shindanmaker.com/67048)



 決めたことがあるらしい。

「メイドさんになろうと思うの」
「はぁ?」
 就職活動も始まった夏。
 大学近くの喫茶店、お昼ごはんの時にはいつもウチの学生で一杯になる。ここのハニートーストが絶品なのだ。あとベルギーワッフル。
「見つけたのよ」
「何を?」
「未来の旦那様!」
「えーと……」
 ハニートーストやハニーラテ。そうハニーラテも美味しいんだけど。そのハチミツは養蜂場と店長が独自に契約して入れてるみたいで麦わら帽子のおじさんの写真が飾ってある。喫茶店の雰囲気とはあんまり合わないからわたしは嫌なんだけどね。
「彼ね!高校生なのよ」
「年下好きだったっけ」
「カッコイイのよ」
「ふぅん」
 今日はワッフルとハニーラテにしよう。ハニートーストは昨日食べちゃったから。イチゴと生クリームのワッフルも美味しいんだぁ。イチゴもなんか農家と契約結したんだとか言ってたっけなぁ。
「たまたま先輩と街で会って、そうしたらたまたま彼が通りかかって、先輩挨拶してたから誰ですかぁ?って聞いたら契約相手の会社の部長の息子さんなんだって!」
「先輩かわいそう」
「あの先輩はいいの」
「ほんと、かわいそ」
 ウェイターさんが来てくれたので、ワッフルとハニーラテを頼んだ。向かいでは私もそれーとか言ってるので同じのが二つ来る予定。人柄良さそうなんだけどね。あのウェイター。でも、なんかモテなさそう。
「だから私、メイドさんになる」
「ごめん、言っている意味が全然わからない」
「先輩から住所教えてもらって調べてみたら、ちょうど家政婦の募集をしてたのよ」
「……あぁ……そう……」
「なれると思う?」
「知らないよ、そんなの。大体、ウチのガッコ出て企業か官僚にならないのって家業継ぐとか起業するとか院に進むかくらいじゃない」
「だから就職するんじゃない」
「家政婦に?」
「メーイードーさーんー!」
「……はいはい」
「あ、でも永久就職もいいかもね」
「無理」
「ひどーい、そんなすぐ否定しなくてもいいでしょー」
 ワッフル二つとハニーラテが二つテーブルに運ばれてきた。ラテからの甘い香りとほかほかのワッフルの香りが混ざってほんとに美味しそう。ううん美味しいんだけど。ここのワッフルほかほかの焼きたてを持ってきてくれるから好き。
「それでね。メイドさんとして働くんだけど、夜はやっぱりお仕事暇になるじゃない?だから、彼のお勉強見てあげたりして」
「家庭教師いるでしょ」
「そうなのよ。最初家庭教師考えてたのに、募集してなかったのよー。だから、メイドさんで入って勉強教える」
「わたしに教えてーって泣きついてくる人の発言だと思えないなー」
「高校のだったら私でもわかりますー」
 ハニーラテは今日も美味しい。あ、もちろんハニーラテはアイスにしてある。暑い中ホットのハニーラテなんか飲めないから。猫舌っていうか熱い飲み物はすぐ口の中やけどしちゃって。舌やけどするとヒリヒリしちゃって全然味わからなくなっちゃうしね。
「そうそう、それでね。夜は勉強教えたりしながら、ちょっとペン貸してって言いながら手を取ったりして、そうそう彼って手も大きいのよ。身長も結構高いし」
「バスケ部なんでしょ」
「そうなの!バスケ部なの!私小さいからぐって近寄らないとダメだよね。それでいきなり体ギュッてされたらもうダメかも」
「何言ってんだか」
 ここのワッフル、あったかい時も美味しいけど冷めても美味しいのが好き。クリームもちょっと甘さがあるくらいでイチゴの味もよく分かるし。ちょっと外側がサクッとしてるのもいいんだよね。
「いいの。これはチャンスなんだから。縋りついてでもモノにしてやるんだから!」
「やめとけばいいのに」
「ひどい!人の可能性を潰すつもりね……」
「まったく……」
 と、止めるだけ止めてみたものの、彼女の意志は強く。
 また、ウチの大学の学生なだけはあってネームバリューというものもあったのか、彼女はなんと一つしかないはずの家政婦の座を射止めたのであった。
 しかし、大学生はお昼は学校……というわけで、歳だから辞めるはずだった前任のおばあちゃんが「きっちり教えてやるよ!」と張り切って引き継ぎを兼ねて残留することになったらしい。

 そして、勤務最初の日。

「な……なんで……」
「家庭教師だから」
「そんな……」
「解らない所があったなら教えてあげてね」
「先生、知ってる人なの?」
「えぇ、同じ大学なんです。でも、ご主人様には伝えてませんから、彼女は自分の力で採用されたんですよ」
「やっぱり、先生の大学ってすごいなぁ」
「来年入るつもりなんでしょう?」
「う……うん……」
 口をぱくぱくさせているメイドさんはそのままに、少し顔を桜色に染めてる彼の手を取る。
「さぁ、始めましょうお坊っちゃま」
「は、はい!」
 大きい手をいつものように引いてお部屋まで向かう。




 ──彼女には勤務だけを頑張ってもらいましょう。




おしまい

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[ 2012/09/02 23:31 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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Author:さなかおる
百四十という数字が私に何かをもたらしそうな気がして。

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